ミュンヘン

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かなり前に公開された作品だが、最近友達が見た、という話を聞いて、見てみたくなったので、借りました。

監督は、あのスピルバーグ氏。
1972年のミュンヘンオリンピック事件後のモサドによる黒い九月に対する報復を描く、実話を基にしたサスペンスとスパイ物の中間くらいの作品です。
ジョージ・ジョナスの書いたノンフィクション小説『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』というけっこう昔の小説を原作としています。


話は、ミュンヘンオリンピックの際に、イスラエルの選手がテロにより拉致・殺害されたことへの、イスラエル政府によるテロの首謀者11人への暗殺の命令を受けた主人公の戦いと葛藤を描いています。


さて、この映画の感想ですが、第一にまず、僕はこの事件について知らなかったので、事件が本当にあった話、という事への衝撃が大きかったです。
イスラエルパレスチナの間で何があったかくらいは、それなりに知っていたので、話のドラマチックさに驚きを隠せませんでした。
とにかく、この話自体が、見所の一つです(ただし、話を知らない、という前提のもとですが。。。)


それから、さすがはスピルバーグ監督!!とうなってしまう、映像の見せ方の上手さ☆
ダイナミックな構図が多々見られるし、カメラワークの細かさ、映像自体の美しさ、さらには、ヨーロッパ各国の素晴らしい景色をふんだんに盛り込むなど、とにかく素晴らしい出来です!!


しかし、気になる点も。。。
まず、少し脚本が冗長な感があるのは否めません。
なんか長いな〜、と特に後半で中だるみしてしまうんです。
前半は、アクション的要素が強いのに対し、後半は主人公の心中に迫ろうとしているからだと思うのですが、もう少しテンポが良かったらな、とも思います。


もう一点あげると、上にあげた後半の主人公の葛藤については、時間をさいてる割に、内容はちょっと薄いんじゃないか、と思ってしまった点です。
監督自身が解説で言ってるように、
「暴力には暴力を、は果たして正しいのかの問題提起を、暗殺者の苦悩を通して描いた」
ということは、よく分かるのですが、それについて深く掘り下げているようには思えず、他の映画でも見られるような葛藤のレベルに収まってしまっているのが、少し残念かな、と感じました。


ただ、娯楽作品の方向性を保ちながら、あえて長く後半をとって、
「暗殺者もテロリストも、人間だなんて、そんなことは言われなくてもわかってるよ!!」
と言ってしまいがちな多くの人に、
「本当に分かってる?」
と繰り返し聞いていっている、という風にも思えて、そういう意味では、僕なんかも上のように感じてしまった時点で、ちょっと反省しなきゃいけないのかも知れませんね。。。


以上、まとめると、娯楽作品としてみれば、後半は少し冗長だけど、映像も綺麗だし、いろいろと考えさせてくれる契機になる作品として、とても素晴らしいんではないか、と思いました。
親しい人と見て、見た後に考えをいろいろと語ってみる、という見かたをしたならば、この映画は素晴らしいものとなる、、、かも☆


そうだ、もとの小説の方も読んでみようかな〜!
ではでは。。。