サンキュー・スモーキング

予告編が面白そうだったので、借りてみたかった映画の一つでした。

「ニコチン・ウォーズ」という小説を原作とした、ジェイソン・ライトマン監督による、社会風刺コメディ。
かなり小さな規模での公開から全米での公開までこぎつけた、アメリカン・ドリーミーな作品です。

ストーリーは、簡単に言うと、タバコの広報マンで、「情報操作の王」とまで呼ばれる超絶話術を持った主人公ニック・ネイラーが、タバコには害が無い、と世間に信用させるために奮闘する、というもの。
当然、彼は世間から嫌われるわけだが、そんななかで、1人息子だけは、彼を尊敬している。
この息子、途中かなりの話術を発揮したりして、小憎らしくてかわいい☆


この映画の監督、聞いたことが無いのでちょっと調べてみたら、これが初の長編映画だったようです。
初めてでこの出来はすごいな!!、と思ってたら、お父さんが「ゴーストバスターズ」シリーズの監督じゃないですか!!!
なんとなく納得w
この作品の次に撮った「JUNO」という作品では、アカデミー監督賞にもノミネートされるなど、かなりこれからに期待できる監督ですね☆
ちなみに、映画の前には、任天堂やホンダのCMを作っていたみたいですよ〜。


そして、主演は、アーロン・エッカート
僕の好きな俳優の1人です☆
ダークナイト」にも検事役で出てますね〜。
こないだ見た、「幸せのレシピ」という映画の中での、イタリア人男の役も、素晴らしかったし、実力ある良い俳優だと思います!
かれの好演も、見所です。


さてさて、見た感想ですが、
まず、ドキュメンタリータッチなのに、もったりしてなくて、非常にテンポが良く、コミカルで軽快な仕上がりになっているのが、見やすくて、とてもよいです。
マイケル・ムーア監督の作品みたいな仕上がりに、特に前半はしていて、ナレーションや静止画で見せる場面があるのですが、その辺も笑えるし、ぽんぽん場面が転換するおかげで、どんどん引き込まれます。


肝心の話術の場面も、非常に出来がよく、ディベートのシーンや最後の答弁シーンなどは、いったいどうやってこの状況をひっくり返すのか、かなりハラハラドキドキ♪
話術のシーンが上手くいってるおかげで、説得力があるんですよね。
これが、上手くいってなかったら、台無しのところです(当たり前だけどw)


コメディらしく、人物も際立っていて、おもしろい☆
細かい変な設定があって、それが妙に話に厚みを出していて、引き込まれます。
そして、例によって、変な日本好きのひとも・・・ww


この作品は、けっこう痛烈なアメリカ批判があって、例えば、タバコや銃などを批判してスケープゴートにすることで票をかせぐ政治家やら、言論操作によりいとも簡単に操られてしまう民衆などなど。。。
そして、なにより、この映画のメインであるディベートすらも、かなり皮肉っている気がします。
誰だか忘れましたが、前に、
「ハーバードや、アメリカのトップの大学で教えていることは、人をやり込めるディベート術に尽きる。つまり、あれは話し方教室なんだ。」
というようなことを言っていた人の話を聞いたことがありますが、ディベートが上手い方が勝つだけで、本質はどうでも良い、というような社会のあり方を、この映画では問題にしているのではないでしょうか。。。


しかし、一方で、アメリカという社会は、ディベートをしっかりして、その上で戦い、あとは民衆の判断に任せる、というようなシステムが政治の世界でも法の世界でも出来上がっていて、それが良さでもあるんだ、ということも、主人公のラストの姿や言論の自由に関するやりとりで匂わせており、一方的でない主張に好感がもてました☆


最後に、この映画は、娯楽作品として楽しみながらも、いろいろと勉強にもなる素晴らしい映画なので、ぜひとも皆さん見てみてください☆